「小型船舶安全規則」の全文・条文を、わかりやすく、スマホで見やすい形でまとめていきます。
目次
- 小型船舶安全規則の全文・条文まとめ
- 第1章|総則
- 第2章|船体
- 第3章|機関
- 第1節|通則
- 第21条|適用
- 第22条|機関の材料
- 第23条|機関の操作
- 第24条|機関の一般施設
- 第2節|主機、補助機関及びプロペラ軸系
- 第25条|構造
- 第26条|内燃機関の気化器
- 第27条|チルトアツプ構造の船外機
- 第28条|内燃機関の電気点火装置
- 第29条
- 第30条|過速度調速機
- 第31条|潤滑油装置
- 第31条の2|油こし器
- 第31条の3|燃料油装置の油受
- 第32条|プロペラ軸
- 第33条|始動装置
- 第3節|補機及び管装置
- 第34条|構造
- 第34条の2|逃し弁
- 第35条|燃料油装置の構造等
- 第36条|燃料油装置の配置
- 第37条|タンク内液量計測装置
- 第37条の2|排気管装置
- 第38条|吸入管及び排出管
- 第4節|備品
- 第39条|内燃機関の備品
小型船舶安全規則の全文・条文まとめ
小型船舶安全規則
船舶安全法(昭和8年法律第11号)第2条第1項の規定に基づき、小型船舶安全規則を次のように定める。
第1章|総則
第1条|適用
船舶安全法(昭和8年法律第11号)第2条第1項の規定により漁船以外の小型船舶に関し施設しなければならない事項及びその標準については、他の国土交通省令の規定(船舶安全法施行規則(昭和38年運輸省令第41号)第2章|の3の規定を除く。)にかかわらず、この省令の定めるところによる。
第2条|定義
この省令において「小型船舶」とは、次の各号のいずれかに該当する船舶であつて、国際航海に従事する旅客船以外のものをいう。
1 総トン数20トン未満のもの
2 総トン数20トン以上のものであつて、スポーツ又はレクリエーションの用のみに供するものとして告示で定める要件に適合する船体長さ(船体の強度、水密性又は防火性に影響を及ぼすことなく取り外しできる設備を取り外した場合における船体の前端から後端までの水平距離をいう。)が24メートル未満のもの
【2】この省令において「特殊小型船舶」とは、次に掲げる要件を満たしている小型船舶をいう。
1 船の長さ(上甲板の下面における船首材の前面から船尾材の後面までの水平距離をいう。)が4メートル未満で、かつ、船の幅(船体最広部におけるフレームの外面から外面までの水平距離をいう。以下同じ。)が1・6メートル未満であること。
2 最大搭載人員が2人以上のものにあつては、操縦場所及び乗船者を搭載する場所が直列であること。
3 ハンドルバー方式の操縦装置を用いるものその他の身体のバランスを用いて操縦を行うことが必要なものであること。
4 推進機関として内燃機関を使用したジェット式ポンプを駆動させることによつて航行するものであること。
【3】この省令において「沿岸小型船舶」とは、沿海区域を航行区域とする小型船舶であつて、その航行区域が次に掲げる区域に限定されているものをいう。
1 平水区域
2 本州、北海道、4国及び9州並びにこれらに附属する島でその海岸が沿海区域に接するものの各海岸から5海里以内の水域
【4】この省令において「2時間限定沿海小型船舶」とは、沿海区域を航行区域とする小型船舶であつて、その航行区域が平水区域から当該小型船舶の最強速力で2時間以内に往復できる区域に限定されているものをいう。
【5】この省令において「検査機関」とは、管海官庁又は小型船舶検査機構をいう。
【6】前各項に規定するもののほか、この省令において使用する用語は、船舶安全法において使用する用語の例による。
第3条|同等効力
小型船舶の船体、機関、設備及び属具であつて、検査機関がこの省令の規定に適合するものと同等以上の効力を有すると認めるものについては、この省令の規定にかかわらず、検査機関の指示するところによるものとする。
第4条|特殊な小型船舶
潜水船等の特殊な小型船舶であつて、この省令により難い特別の理由があると検査機関が認めるものについては、この省令の規定にかかわらず、検査機関の指示するところによるものとする。
第2章|船体
第5条|材料及び構造
船体は、適当な材料を使用したものであり、かつ、航行に10分堪えることができる構造のものでなければならない。
第6条|工事
各部の工事は、良好かつ有効なものでなければならない。
第7条|水密甲板の設置
沿海以上の航行区域を有する小型船舶には、水密構造の全通甲板又はこれに準ずる水密構造の甲板を設けなければならない。ただし、沿岸小型船舶及び2時間限定沿海小型船舶(以下「沿岸小型船舶等」という。)に設ける水密構造の甲板にあつては、船首暴露部のみとすることができる。
【2】沿岸小型船舶等であつて、検査機関が当該小型船舶の構造、乾げん等を考慮して差し支えないと認める場合は、前項の規定は適用しない。
【3】第1項本文の小型船舶であつて、検査機関が当該小型船舶の構造、乾げん、排水設備等を考慮して差し支えないと認めるものには、コックピットを設けることができる。
第8条|甲板口のコーミング及び閉鎖装置
前条第1項の規定により設けなければならない水密甲板の暴露部に設ける倉口、昇降口その他の甲板口(機関室口を除く。次項において同じ。)には、コーミングを設け、かつ、風雨密に閉鎖することができるふた板、ターポリン等適当な閉鎖装置を備え付けなければならない。ただし、検査機関が当該甲板口の用途、当該甲板口に設ける閉鎖装置の構造等を考慮して差し支えないと認める場合は、コーミングを設けないことができる。
【2】前項のコーミングの甲板上の高さは、近海以上の航行区域を有する小型船舶にあつては300ミリメートル以上、沿海区域を航行区域とする小型船舶にあつては150ミリメートル以上としなければならない。ただし、検査機関が当該小型船舶の航行上の条件、甲板口の大きさ、乾げん、閉鎖装置等を考慮してさしつかえないと認める場合は、コーミングの高さをその指示するところにより減ずることができる。
第9条
削除
第10条|機関室口囲壁
第7条第1項の規定により設けなければならない水密甲板に設ける機関室口は、堅ろうな囲壁で囲まなければならない。
【2】前項の機関室口囲壁に設ける窓、出入口その他の開口には、風雨密に閉鎖することができる適当な閉鎖装置を備え付けなければならない。ただし、機関の運転中換気のため開放する天窓、通風筒等であつて、検査機関が当該天窓、通風筒等の構造等を考慮してさしつかえないと認めるものについては、この限りでない。
【3】第8条第2項の規定は、前項の開口の下縁の甲板上の高さについて準用する。
第11条|甲板室及び船楼
第7条第1項の規定により設けなければならない水密甲板上の甲板室又は船楼内の甲板に倉口、昇降口、機関室口その他の甲板口を設ける場合は、当該甲板室又は船楼は、堅ろうなものとしなければならない。ただし、機関室口以外の甲板口が第8条の規定に適合する場合又は機関室口が前条の規定に適合する囲壁を有する場合は、この限りでない。
【2】前項の甲板室又は船楼に設ける窓、出入口その他の開口には、風雨密に閉鎖できる適当な閉鎖装置を備え付けなければならない。ただし、前項ただし書の場合は、この限りでない。
【3】第8条第2項の規定は、前項の開口の下縁の甲板上の高さについて準用する。ただし、第1項ただし書の場合は、この限りでない。
第12条|げん側諸開口
外板(無甲板船にあつては、げん端から下方の外板)に設ける窓その他の開口は、水密に閉鎖できるものでなければならない。ただし、検査機関が当該小型船舶の乾げん、排水装置等を考慮してさしつかえないと認める場合は、この限りでない。
第13条|放水口及び排水孔
暴露甲板のブルワークがウエルを形成する場合は、ブルワークに放水口を設けなければならない。
【2】暴露甲板の水のたまりやすい場所には、船外に通ずる排水孔を設けなければならない。
【3】放水口及び排水孔の大きさ、数及び位置は、暴露甲板上の水を排出するのに10分なものでなければならない。
第14条
削除
第15条|水密隔壁の設置
沿海以上の航行区域を有する小型船舶(木製船体のものを除く。以下この条において同じ。)には、船首より船の長さ(上甲板のビームの上面(無甲板船にあつては、げん端)の延長面における船首材の前面から船尾材の後面までの水平距離をいう。第102条において同じ。)の0・05倍の箇所から0・13倍の箇所までの間に水密隔壁を設けなければならない。ただし、水密隔壁の位置については、検査機関が当該船首部の構造、形状等を考慮して差し支えないと認める場合は、検査機関の指示するところによる。
【2】沿海以上の航行区域を有する小型船舶には、機関室の前端に水密隔壁を設けなければならない。
【3】第2項の隔壁は、水密甲板まで達しさせなければならない。ただし、前項の隔壁にあつては、当該隔壁がコックピットの下にある場合は、当該コックピットの床の下面にとどめて差し支えない。
【4】前3項の規定によるほか、近海以上の航行区域を有する小型船舶にあつては、いずれの1区画に浸水したときにおいても、次に掲げる要件を満足する平衡状態で当該小型船舶が浮んでいるような位置に水密隔壁を配置しなければならない。
1 浸水後の水線が浸水の可能性のあるいずれの開口の下縁よりも下方にあること。
2 浸水後のメタセンタ高さが50ミリメートル以上であること。
【5】旅客船以外の小型船舶であつて検査機関がその構造等を考慮して差し支えないと認めるもの及び沿岸小型船舶等にあつては、前各項の規定によらないことができる。
第16条
削除
第17条|隔壁の設置
沿海以上の航行区域を有する木製船体の小型船舶には、機関室の前端に堅ろうな隔壁を設けなければならない。
第18条
削除
第19条
削除
第20条
削除
第3章|機関
第1節|通則
第21条|適用
小型船舶の機関(小型船舶の主機、プロペラ軸系、補助機関、圧力容器、補機及び管装置をいう。以下同じ。)であつて、小型船舶の推進、排水その他の安全性に直接関係のない機関であると検査機関が認めるものについては、次条、第25条及び第31条の規定は、適用しない。
【2】圧力容器については、この章|の規定によるほか、検査機関が適当と認めるところによる。
第22条|機関の材料
機関は、その使用目的に応じ適当な材料を使用したものでなければならない。
第23条|機関の操作
機関は、容易かつ確実に操作、点検及び保守ができる適当な構造のものでなければならない。
【2】主機を始動した際に急に発進するおそれのある小型船舶には、急発進を防止するための適当な措置を講じなければならない。
【3】主機は、適当な装置を用いて容易かつ確実に小型船舶に後退力を与えることができるものでなければならない。
【4】遠隔操作装置により主機を操作する小型船舶には、その操作場所に必要な計器類を備え付け、かつ、当該主機は、手動によつても操作できるものでなければならない。ただし、検査機関が当該主機の構造等を考慮してさしつかえないと認める場合は、当該計器類を省略することができる。
第24条|機関の一般施設
機関は、取扱者の健康に障害を与えるようなガス又は火災の危険のあるガスがなるべく漏れないようなものでなければならない。
【2】機関は、前項のガスを速やかに排出することができるような通風良好な場所に設置しなければならない。
【3】プロペラ軸その他の機関の運動部分で取扱者に傷害を与えるおそれのあるものには、適当なおおい又は囲いを備え付けなければならない。
【4】排気管、消音器その他の機関の高熱部分で取扱者に傷害を与えるおそれのあるもの又は火災の危険のあるものには、適当な防熱装置を備え付けなければならない。
【5】機関に取り付けるレバー、弁、コツク等取扱者が通常使用するものは、使用が容易にできる場所に設けなければならない。
【6】ガソリンを燃料とする内燃機関を設置した区画には、爆発を防止するため、10分な能力を有する排気式機械通風装置を備え付けなければならない。
【7】前項の内燃機関の操作場所には、当該内燃機関を設置した区画が10分換気されたのちに機関を始動すべきことを表示しなければならない。
第2節|主機、補助機関及びプロペラ軸系
第25条|構造
主機、補助機関及びプロペラ軸系は、10分な強さの構造のものであり、かつ、連続最大出力(計画した状態(主機にあつては、満載きつ水の状態で航行する状態)で安全に連続使用することができる機関の最大出力をいう。以下同じ。)の状態において円滑に作動するものでなければならない。
第26条|内燃機関の気化器
内燃機関の気化器は、内燃機関が停止した場合自動的に燃料油の供給がしや断され、かつ、気化器の空気入口から燃料又は可燃性ガスが漏れないように装置したものでなければならない。
【2】内燃機関のシリンダと気化器の間又は気化器の空気入口には、金網を備え付けなければならない。ただし、バツクフアイヤのおそれのない構造の内燃機関については、この限りでない。
第27条|チルトアツプ構造の船外機
チルトアツプできる構造の船外機は、その最大チルトアツプ角度においても燃料油が漏れない構造のものでなければならない。
第28条|内燃機関の電気点火装置
内燃機関の電気点火装置のケーブルは、完全に絶縁し、かつ、機械的損傷を受け、又は油管、油タンク若しくは油と接触しないように敷設しなければならない。
【2】内燃機関の電気点火装置のコイル及び点火配電器は、爆発性ガスに触れるおそれのない場所に設け、又は爆発性ガスによる爆発の危険のない構造のものでなければならない。
第29条
削除
第30条|過速度調速機
主機には、連続最大回転数(連続最大出力の状態における機関の回転数をいう。)における速度上昇を瞬時に1・2倍以内に制御できる過速度調速機を備え付けなければならない。ただし、検査機関が当該主機の構造等を考慮してさしつかえないと認める場合は、この限りでない。
第31条|潤滑油装置
潤滑油装置は、適当な位置に圧力計若しくは油の流動状況が見える装置又はこれらに準ずる装置を備え付けたものでなければならない。ただし、検査機関が当該主機又は補助機関の構造等を考慮してさしつかえないと認める場合は、この限りでない。
第31条の2|油こし器
強制潤滑式(ヘッドタンクを用いる方式を含む。)の主機及び主要な補助機関(発電機を駆動する補助機関及び小型船舶の推進に関係のある補機を駆動する補助機関をいう。)には、潤滑油のこし器を設けなければならない。
第31条の3|燃料油装置の油受
近海以上の航行区域を有する小型船舶には、燃料油タンクのドレン抜装置、油こし器その他しばしば解放又は調整の必要がある燃料油装置の下に、油の排出のためのコック等を設けた適当な油受を備え付けなければならない。
第32条|プロペラ軸
プロペラ軸の軸身が水により腐食されるおそれのある場合は、当該プロペラ軸の軸身には、適当な防食措置を施さなければならない。
【2】前項のプロペラ軸のスリーブの船尾端とプロペラボスの間は、水が浸入しないよう適当な措置を講じなければならない。
第33条|始動装置
始動に圧縮空気を必要とする内燃機関を主機とする小型船舶には、適当な空気タンク及び充気装置を備え付けなければならない。
【2】始動用空気タンクに接続する管は、空気タンクに接続する部分に弁又はコツクを備え付けたものでなければならない。
【3】始動用空気タンクは、取扱者の見やすい位置に圧力計を備え付けたものでなければならない。
【4】始動に蓄電池を必要とする内燃機関を主機とする小型船舶には、当該内燃機関の種類に応じ10分な容量の蓄電池を備え付けなければならない。
第3節|補機及び管装置
第34条|構造
補機及び管装置は、10分な強さの構造のものであり、かつ、使用状態において円滑に作動するものでなければならない。
第34条の2|逃し弁
計画圧力を超えるおそれのある管系には、逃し弁又はこれに代わる安全装置を備え付けなければならない。
第35条|燃料油装置の構造等
燃料油タンクは、鋼板又はこれと同等以上の材料を使用したものであり、かつ、容易に油量の確認、内部の点検及び掃除ができる構造のものでなければならない。
【2】燃料油タンクの注油口及び測深管の開口部は、堅固なふたで確実に密閉できるものでなければならない。
【3】燃料油管及びその接手は、使用する燃料油の種類に応じ適当な材料及び種類のものとし、かつ、燃料油タンク壁に連結する部分に確実に閉鎖できる弁又はコツクを備え付けたものでなければならない。
【4】燃料油タンクには、空気管を設け、その端を排出ガスによる危険のない場所に導き、排出ガスの流通の妨げ又は波浪の侵入のおそれのないよう装置しなければならない。
【5】ガソリンの燃料油タンクは、船体の一部を形成しないものでなければならない。
【6】船体の一部を形成しない燃料油タンクは、移動しないように固定しなければならない。
第36条|燃料油装置の配置
燃料油タンク、こし器等は、排気管、消音器その他の高熱部から10分離し、かつ、当該高熱部の真上に設けることとならないように配置しなければならない。ただし、配置上これにより難い場合は、適当な防熱措置及び漏油を当該高熱部からしやへいする措置を施したときに限り、これによらないことができる。
【2】燃料油タンクの注油口及び測深管は、電気機械及び電気器具に近接して開口部を設けてはならない。
第37条|タンク内液量計測装置
燃料油タンクの内部の液量を計測するための装置は、破損により当該燃料油タンクの内部の燃料油が流出するおそれのないものでなければならない。
【2】引火点が摂氏60度以下の燃料油を使用する燃料油タンクには、ガラス油面計を用いてはならない。
第37条の2|排気管装置
喫水線付近又は水中に排気口を有する排気管装置は、当該排気口から海水が機関に浸入することを防止するための措置が講じられたものでなければならない。
第38条|吸入管及び排出管
船外から水を吸入する管及び船外へ水を排出する管は、直接又は適当な器具をもつて外板に取り付けた弁又はコツクに連結しなければならない。ただし、検査機関が当該管の配置等を考慮してさしつかえないと認める場合は、この限りでない。
【2】前項の吸入管に連結する弁又はコツクの船外吸入口には、適当なこし網を取り付けなければならない。
第4節|備品
第39条|内燃機関の備品
沿海以上の航行区域を有する小型船舶(沿岸小型船舶等を除く。)であつて内燃機関を有するものには、次の表に掲げる備品を機関室又は船内の適当な場所に備え付けなければならない。ただし、検査機関が必要がないと認める物にあつては、この限りでない。
備品の名称
近海以上の航行区域を有する小型船舶
沿海区域を航行区域とする小型船舶
噴射弁
1個
同上
噴射ポンプの動作部品(プランジャ、弁、バネ等をいう。)
1個分
―
噴射管及び接合金具
各種の形状及び寸法のもの各1個
同上